賃貸住宅の契約で更新料の支払いを定めた条項が、消費者への過重な負担を禁じた消費者契約法に照らし無効かどうかが争われた3件の訴訟の上告審判決が15日、最高裁であった。 第2小法廷(古田佑紀裁判長)は「高額すぎるなどの特段の事情がない限り、更新料条項は有効」との初判断を示した。 3件とも借り手側敗訴が確定した。
賃貸住宅の更新料は「有効」、最高裁が初判断(テレビ東京)判決はいずれも4人の裁判官の全員一致。問題となった3件の更新料契約は、「1年ごとに家賃約2カ月分」とした2件と、「2年ごとに家賃2カ月分」とした1件で、いずれも「高額すぎるとはいえない」と判断されたことになる。
更新料が設定されている物件は全国に100万件以上あるとされ、現行の商慣習を最高裁が追認した形だ。同小法廷は、更新料の性格を「賃料の補充や前払い、契約継続の対価などの趣旨を含む複合的なもの」と初めて定義し、「経済的合理性がないとはいえない」と判断。地域により更新料が商慣習としてあることは広く知られていることなどから「借り手と家主の間に看過できない情報格差はない」とした。
そのうえで、更新料が契約書に明示されており、特段の事情がない限り「消費者利益を一方的に害するとはいえない」と指摘。消費者契約法10条が無効と定める「信義則に反して消費者の利益を一方的に侵害する契約」には当たらないと結論付けた。
借り手側は上告審の弁論で「契約を更新して住み続けるのは借り手に当然認められる権利で、金銭負担を求めるのは許されない」と主張。家主側は「更新料は賃料の一部で、月額賃料を低く抑える効果がある」などと反論していた。 3件の訴訟はいずれも二審が大阪高裁で、判決は「無効」が2件、「有効」が1件。無効とした2件は「借り手に大きな負担が生じるのに、対価に見合う合理的根拠がない」などと指摘。
有効とした1件は「賃借権の対価に当たり、借り手に一方的に不利益とはいえない」と判断していた。